産後授乳期は、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少します。
このエストロゲンは、ステロイドホルモンであり、その受容体であるエストロゲン受容体と結びつくことで、作用します。
エストロゲン受容体は、全身の骨や関節包、腱鞘に存在しており、骨や筋肉、関節、腱を滑らかにする働きがあります。
エストロゲンが減少することで、関節や腱が腫れて、関節の炎症や手指の腱鞘炎が引き起こされます。
産前より骨格のゆがみがある女性は、産後エストロゲンが急激に減少することにより、腰痛や首の痛み、肩甲骨間のしびれ、腕のしびれ、手指のしびれ、手首の痛み、膝の痛み、足首の痛みなど全身に症状が現れやすくなります。
岐南町 30代女性
社会人になってから、両側の肩こりや首まわりの痛みが出現し、雨の日の前日は頭痛に悩むようになる。
産後、肩こりや首の痛みの他にも、腰の痛み、肩甲骨間のしびれ、腕のしびれ、手首の痛み、手指の痛み、膝の痛み、足首の痛みを感じる。
接骨院へ一度通院して、骨盤矯正を行った。
0歳の子供を連れて出掛けるのが大変だったので止めてしまった。
また骨盤を矯正したり、足の長さを揃えたりの矯正中心で、少ししか触らなかった。
腰の痛みは和らいだが、他の部分は診てもらえずに施術が終了した。
ほぼ全身あちこちに痛みやしびれがあるために、全身を治したくて当院の施術を受ける。
筋筋膜性腰痛症・頸椎症性神経根症・膝蓋大腿関節症・ドケルバン腱鞘炎・へバーデン結節・足関節靭帯不安定症
① 腰
ソファーに座り、腰を屈めて授乳する際に、背中の骨(第10胸椎~第12胸椎)が痛い
ベビーベッドで寝ている子供を、抱っこしようと腰を屈めた時に腰椎や骨盤まわりの筋肉が痛い
腰がヒヤッとなる時がある
②首
頸椎のまわりが痛い
首から肩にかけて痛い(左が特に強い)
右肩甲骨の内側がしびれる
右上腕がしびれる
③膝
授乳が終わって、抱っこして立ち上がる時や階段の昇降時 両膝とも膝蓋大腿関節の内側と外側が痛い
④手首
抱っこすると、両手の親指から親指側の手首が痛い
⑤手指
両手の親指、人差し指、中指、薬指の第1関節が痛い
⑥足首
正座をすると足関節の外側側副靭帯(前距腓靭帯・踵腓靭帯)や足首上の外側(遠位脛腓靭帯)が痛いので、正座ができない
座って、立ち上がる時に痛い
触診・動診・検査
腰
- 背中が後ろへ倒れている
- 第10胸椎~第1腰椎が後方へ突出
- 骨盤が後ろへ倒れている(後傾)
- 骨盤が後ろへ回っている(後方回旋)
- 両股関節が後ろへ捻っている(後捻)
- 両股関節の伸展
首
- 第2頸椎右へ倒れている
- 第5、6頸椎が左へ捻っている
- 頸椎の前彎がなく後彎している
- 頸椎全体がつまっている
- 頭が前へ出ている
- 頸部屈筋群の過剰収縮
- 右肩甲骨と右肩が左肩甲骨と左肩より上がっている(右肩甲骨上方回旋、挙上)
- 肩甲骨間で胸椎が右へ寄っていて左へ捻っている
膝
- 両大腿骨下部の内旋
- 外反膝
- 腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)の過緊張
- 内側広筋の過緊張
- 外側広筋の柔軟性低下
- 下腿骨が外へ捻っている(外旋)
手首・手指
- 左上腕骨が外へ捻っている(過度の外旋)
- 左前腕回外筋群の過剰収縮
- 右前腕回内筋群の過剰収縮
- 両側とも親指の第1関節と第2関節が伸展(反っている)
- 右手親指から右手親指側手首上にかけて右長母指外転筋腱と右短母指伸筋腱に圧痛→ドケルバン病
- 両側とも親指、人差し指、中指、薬指の第1関節が腫れている→へバーデン結節
足首
- 足関節が外へ捻っている(外旋)
- 踵の内反(足裏が内を向いている)
- 足関節外側側副靭帯が不安定
ドケルバン腱鞘炎 ドケルバン病(手首の痛み・親指の痛み)
経過写真
![ドケルバン腱鞘炎(手首の痛み)](https://gifu-seitai.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_0022-e1571963786449-225x300.jpg)
![ドケルバン腱鞘炎(親指の痛み・手首の痛み)](https://gifu-seitai.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_0038-e1571972902582-225x300.jpg)
整体
前腕骨の内側への捻り(前腕回内)を修正
手関節が小指側へ倒れているのを修正
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の伸張性ストレスを改善
など。
痛みの変化
手首の痛みがとれる
親指が外へ開くようになる
手関節の親指側を走行する短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の腱鞘炎です。
手首の関節あたりにある親指の腱とそれが通るトンネルとの間で摩擦が起こり、炎症が生じます。
男性よりも女性に多く、妊娠や授乳期、更年期に多い症状です。
手関節の親指側が痛み、圧痛があります。
手首が痛い、物が握れない、コーヒーカップが持てないなどの症状が現れます。
膝の痛み(膝蓋大腿関節症)・足首の痛み(足関節靭帯不安定症)
経過写真
![膝の痛み 足首の痛み](https://gifu-seitai.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_0018-e1571973229138-225x300.jpg)
![膝の痛み 足首の痛み](https://gifu-seitai.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_0031-e1571973446935-225x300.jpg)
![膝の痛み 足首の痛み](https://gifu-seitai.com/wp-content/uploads/2019/10/IMG_0036-e1571973660907-225x300.jpg)
整体
股関節が外転しているために、両足の踵がくっつかず、空いてしまうのを修正
写真では分かりにくいが、外反膝である。大腿骨が内旋しており下腿骨が外旋しているのを修正
大腿骨を内旋させる大腿筋膜張筋や半腱様筋などの伸張性を改善
歩行時、外へつま先を向けて歩いており、下腿が強く外旋しているのを修正
両踵が内反している。正常な向きへ修正
足部の靭帯、足根骨のズレを調整
など。
痛みの変化
膝と足首が痛くて正座ができなかったが、施術後は痛みが少なくなり、正座できるようになる
筋筋膜性腰痛症(腰の痛み)
骨盤の後傾と後方回旋や股関節の伸展が強いのを修正
腰背部の筋の柔軟性を改善
胸椎の後傾、後方突出を改善
腰椎の椎体や椎間板のつまり、後方突出を改善
など。
痛みの変化
胸椎、腰椎、背中の痛みが緩和される
頸椎症性神経根症(首の痛み、肩甲骨間のしびれ・腕のしびれ)
頸椎の正常な彎曲が崩れていた。後彎しており、強くつまっていたために正常な彎曲へ近づけ、つまりを修正
胸椎が真ん中になく、右寄りであり、左へ捻っている、また後方へ突出していたために、正常な状態へ近づけるように修正
肩甲骨間が内転していた。肩甲骨の外転可動域を拡大させる
僧帽筋など首と肩甲骨まわりの筋肉の伸張性を改善させる
右腕の上腕二頭筋の異常収縮を改善させる
右小胸筋の異常収縮を改善させる
など。
痛み・しびれの変化
首の動きが拡がり、痛みがとれる
肩甲骨間のしびれがとれる
腕のしびれがとれる
へバーデン結節(手指の痛み)
手指の腱の滑走性を促進させる
第1関節の調節
など。
痛みの変化
痛みが気にならなくなる
手指の第1関節(DIP関節)に生じる変形性関節症です。
女性ホルモンであるエストロゲンが減少する、授乳期や更年期の女性に多く見られます。
痛みや発赤、熱感、腫脹が見られます。
徐々に骨性隆起が第1関節の背側に出現して痛みが消失し、変形を形成します。