頸椎や頸椎椎間関節の骨棘の形成や黄色靱帯の肥厚、椎間板の変性や膨隆によって、神経根が圧迫されると、首周囲の痛みや一側上肢の痛みやしびれ、手指のしびれ、筋力低下、知覚障害、腱反射低下が生じます。
初発症状は、一側の首の痛み、肩甲骨上部、肩甲骨間、肩甲骨部です。
神経根に圧迫が見られる症状を「頸椎症性神経根症」と言います。
肩甲骨上部の痛みは、c5/c6 肩甲骨部はc7/c8 肩甲骨部はc8 上腕から前腕外側の痛みはc6 前腕後側はc7 前腕内側はc8の神経根障害で現れます。
頸椎症性神経根症
60歳代女性 岐阜市
2カ月前から右首から右肩、右腕にかけて痛みと重だるさを感じた。1ヵ月後に整形外科へ通院し、頚椎症性神経根症と診断される。
1ヵ月後、施術を受けておられるご主人さんのご紹介で、施術を開始する。今まで接骨院や整体院へ通院したことがない患者さんです。
触診・動診・検査
- 頸椎c5c6の左回旋が強い
- 首をかしげており、頸椎の左側屈が強い
- 右肩甲骨内旋、右肩内旋、右腕内旋(内側を向いている)
- 左肩甲骨が右肩甲骨より後方に偏位
- 両肩甲骨前傾が強い
- 両肩甲骨内転
整体
[初回]
頸椎の変形が強く、牽引をしながら、頸椎のアライメントを整えていきました。
左右の肩甲骨周囲筋が硬く、肩甲骨の外旋、外転の可動域制限があったために、肩甲骨の可動域を拡大させました。
右肩と右の上腕が内側を向いていたために、外旋可動域を増やし、肩と腕のねじれを改善させました。
[経過]
2回目
だいぶ痛みがおさまり楽になった。
痛みはまだあると。
3回目
肩と腕の痛みはなくなった。肩甲骨上に痛みが残っていると。
肩甲骨の前傾と胸椎上位の前傾が強く、肩甲骨のアライメントを整える時間に多くを費やしました。
4回目
肩と腕の痛みはないが、まだ少し肩甲骨の上に痛みが出てくると。
胸椎、肩甲骨、胸まわりの筋肉が硬すぎて動きがほとんどありませんでしたが、やっと筋肉の柔軟性が出てきました。
肩甲骨外転と肩甲骨外旋の可動域が増えました。
5回目
肩と腕の痛みはない。肩甲骨の痛みもなくなった。右首から右肩、右腕にかけての重だるさもなくなったと。
引き続き、施術継続中です。
考察
患者さんが毎日、習慣的に行っていた悪い癖○○○が要因となり、頸椎の変性を引き起こし、神経を圧迫させていました。
また胸椎や肩甲骨、胸まわりの硬さが際立っているため、頸椎への負荷が増大したと考えられます。
習慣的な悪い癖を改めさせ、施術では、頸椎や肩甲骨、胸椎、肋骨などのアライメント調整と各関節可動域制限の軽減、筋肉などの軟部組織の柔軟性を出すことによって、早期に頚椎症性の神経痛を解消することが出来ました。