肩鎖関節は、鎖骨端と肩峰の間にある関節です。右の肩鎖関節の炎症による痛みがあります。
肩をベンチプレスで痛めた
ベンチプレスでのトレーニング中に、肩に大きな負荷が加わり、肩鎖関節を痛めた患者さんです。
岐阜市 20代男性
右肩鎖関節が痛い
趣味でジム通いを続けている。ベンチプレスをしているときに右の肩鎖関節を痛めた。肩鎖関節に圧痛と腫れが認められた。
触診と動診
- 肩鎖関節の圧痛
- 肩鎖関節の腫脹
- 肩甲骨を後傾したときに痛みが出る
- 肩関節を下ろした状態で外旋(肩関節下垂位外旋)したときに痛みが出る
- 肩関節90°外転外旋で痛みが強くなる
- 大胸筋の短縮(右大胸筋で著明)
- 小胸筋の短縮
- 広背筋の短縮(右広背筋で著明)
- 右肩甲骨が左肩甲骨より下制(下へ下がっている)
施術
【初回】
腫脹と痛みが強かったために、動かすときに痛みがでないように施術をしました。
右の肩甲骨が左より5㎝程下がっていたために、挙上させました。
右肩と右肩甲骨が前傾していたために、修正しました。
短縮した大胸筋、広背筋、小胸筋をゆるめました。
肩甲下筋の伸張性を増やしました。
【2回目】
肩鎖関節の腫脹が減る。
【5回目】
施術前、痛みが治まり、調子が良いと
短縮した背中の筋肉である広背筋の伸張性を高め、下がった肩甲骨を挙上させて左の肩甲骨を同じ高さへ揃えました。
肩甲骨の下方回旋と内転を促しました。
大胸筋や広背筋の短縮をゆるめて、肩関節の外旋可動域を増やしました。
小胸筋をゆるめ、肩甲骨の後傾を促しました。
上腕三頭筋をゆるめました。
施術継続中です。
【考察】
肩甲骨が上方回旋、下方回旋、外転、内転するときには、この肩鎖関節が支点として
働きます。
肩甲骨のアライメントが下制して内旋、前傾していると、肩を屈曲したときに、肩鎖関節に大きなストレスがかかります。
ベンチプレスで重いものを持ち上げる動作ならなおさら、負荷が増大します。
肩甲骨アライメントの是正を図り、短縮した筋肉をゆるめ、外旋筋のパフォーマンスを上げることで、肩鎖関節の炎症による痛みが早く鎮まりました。
ジムや器械を使ってトレーニングをして痛める患者さんは、多いです。
アライメントが崩れている方は、鍛え過ぎると痛める確率が高くなります。